かてぃー先生の日記

国語の先生(女)。仕事とか私事とかいろいろ書くよ。

「自称進学校あるある」を、元・中の人が解説する

「自称進学校」って聞いたことありますか?

私は働き始めるまで無かったです。笑

開成とか駒東とかは、「自称」ではなく普通に進学校

そういうのじゃなくて、「自称」がついちゃうやつです。

 

「地方の高校で文武両道を掲げる偏差値が50〜65くらいの高校」のことを指すことが多いです。」だそうです。

career-find.jp

 

私もこんな感じの学校に勤めていたので、「自称進学校あるある」が「うわーーーあるあるだわ」と思ってましたよええ。

自分自身、そういうジャンルではない高校出身だったので、もうすべてがカルチャーショックすぎて最初はマジ意味わからんかった。

働いていくうちに、この「あるある」が死ぬほど該当してるし、何でこんな非効率的な「あるある」を学校側がやらなきゃならないのかも分かってきたので、解説してみようと思う。

生徒の皆さん、私たち先生だってこの「あるある」を強制するのはダルイのよ…でも学校の事情もあってやってるんで、そんな我々の言い訳を聞いてくれ。

ちなみに、私には本当にだるすぎてもう続けられんと思ったので、自称進学校では働きません。

 

自称進学校あるある①「受験は団体戦

これ、勤務し始めて初めて聞いた時、まじ意味不明だったよね。

いやいや、個人が頑張るもんやん(本音)。

頭の中が「???」でいっぱいになりつつ、保護者会で力説させられたやつ。

意味わからんと思いながら力説してたけど。

 

何でこんなことを力説するのかと言いますと、生徒を学校に来させ、色んなことの強制力を増すため。

そもそも、自分と「当たり前」の世界線が違いすぎて最初はついていけなかったんだけれど、私は「登校するのが当たり前」「先生の言うことは聞くのが当たり前」という前提で高校生活を送ってたんですよ。

でも、偏差値が下がると、それが当たり前じゃなくなると。

低いほうに振り切ってド底辺校とか、進学重視しない校になれば、「登校するのが当たり前」じゃなくても別に良いわけ。

でも、一応「進学」をうたっている学校なら生徒は来させないといけない。

しかし放っておくと来なくなる。特に推薦決まった高3とか。

別に来たくないなら来なけりゃいいというのが私の本音だけど、来ない生徒だらけのクラスって、つられてみんなやる気なくなって悪影響。

いやいやお前受験終わってないんだからつられんなよと思うんだけれど、そんな自律的な子はいない。自称進学校ですから。

というわけで、「学校」で管理するためにも、「受験は団体戦、お前の受験が終わっても、全員の進路が決まるまではクラス皆で頑張ろうぜ!!」という方向にもっていくしかない。

最初に「受験は団体戦」って言葉考えたやつすごいなー。

実際の受験は個人戦ですから皆さんお気をつけて。(当たり前)

 

自称進学校あるある②長期休暇のやたら多い講習

「夏休み」は「夏(に副教科の授業が)休み(になるが主要教科が講習する期間)」の略なので、休みだと思わないように。春冬も同様。

主要教科しか授業しないから、コマ数馬鹿多くて、1日6コマ×5日連続とかあったな…副教科の先生に殺意わいてしまう。笑

1日6コマは本当にもうやりたくない。

なぜやたらめったら講習をするのかといいますと、それぐらいしか売りが無いからですね。

本物の進学校なら、偏差値と進学実績で勝手に生徒が集まる。

しかし、なんちゃっては何かしら宣伝しないと生徒が集まらない。

そこで先生たちのマンパワー

「予備校/塾に通わなくても、長期休暇に講習があるから大丈夫!!」ということですね。(我々は何も大丈夫じゃない。)

しかも講習が授業日数に組み込まれていないくせに強制だったりして、こっちも正直「???」って感じだったけれど、これは保護者へのアッピールですね。

生徒は夏休みに学校なんか来たくないだろうけど、大半の保護者は行ってほしい。学校で面倒見といてほしい。

学校にお金を落としてくれるのは保護者なので、保護者様重視のやりかたをするとこうなるわけ。

同様の理由で「塾はいらない!学校で受験勉強が完結!!」という宣伝文句も多用。

これをうたっている学校はつまり、拘束時間が長いので、そういうのが耐えられない生徒の皆さんは入学しないでね。

あと、先生の拘束時間も長いという意味なので、ホワイトな労働環境を希望する人は就職しないように。

 

 

自称進学校あるある③謎なレベル別クラス

私、自分の出身校はレベル別どころか文理すらクラスで分かれてなかったから、就職した学校のクラスが分かれすぎてて全然把握できなかった。

ありがちなのが、「特進」「進学」「選抜」「難関」「探求」「グローバル」等。

たまに変化球で「アルファ」「スーパー」「アドバンス」等の英語名を使ってくる学校も。

パッと見、どれが上位クラスなのか分からないし、名前が何の説明になってもいないのがミソ。

まず、なぜそんなやたらめったらクラスを分けるのかと言えば、生徒が集まらないから色んな層を入学させざるを得ず、分けないと授業にならないから。

下は進路未定~上は東大、みたいな状態なので、一緒のクラスに出来ない。

ちょっとでも進学実績上げないといけませんからね、合格数稼いでくれる層は集めて手厚く対応。

一方、下のクラスは色々悲惨。

一番まずいのは、授業担当者は上のクラスから取っていくので、下のクラスはろくな教師が残っていない。

高3なのに担任の授業以外オール非常勤、しかも新人多数とか。

そんでもって、下のクラスだから勉強出来ない生徒だらけなので地獄。つらー。

あと、宣伝の売りを作る必要があるので、新しいクラス作りがち。最近はやりなのは「グローバル」とか「国際」とか。

なお、自称進学校のグローバルコースは全然グローバルでなく、カリキュラムにちょろっと短期留学が入っている程度です。本当に英語力つけたいなら、本物の進学校の普通スのが断然良い。

 

自称進学校あるある③やたら多い課題

長期休暇中とか馬鹿みたいに宿題出るよね。馬鹿なの???

これも弁解させていただくと、まず、対保護者用に「休みでもちゃんと課題出してるよ!自分で学ぶ力身につけさせているよ!!」というアッピールをしなくてはならない。

しかし、自称進学校は非常勤講師が多く(経営苦しいから…)、非常勤に宿題をそんなに任せられない。専任だけで回す人手も足りない。

しかも、宿題っていうのは出したら出したで、チェックもしなけりゃならない。

そこで、「生徒がやるのには時間がかかる、しかしこっちのチェックは楽」という「質より量」課題にせざるを得ない。

問題集丸ごとをコピーで渡すとか。

正直宿題出しているこっちも何の面白みも無いので、作業としか思っていない。

「量より質」の課題、例えばちゃんと手順を踏ませたレポートとか、そういうやつが本当の意味での学力にはなるのは重々承知だけれど、そんな宿題を出しても見切れない。

しかも、学力不足の生徒にそれをやらせようとすると、手取り足取り教えないと出来ないはずだけれど、そんなじっくり教えている余裕がない。

よって、「宿題を出した」という大義名分を示せる「質より量」課題になる。

生徒可哀そうだなーと思いつつ、こっちも徒労感が半端ないので、誰にとっても幸せじゃない作業であると言える。

 

自称進学校あるある④ベネッセの模試

大学受験の模試と言えば河合とか駿台のイメージだと思うんだけど、自称進学校ではベネッセを愛用。

なぜベネッセの模試なのか。

まず、模試のレベルが低いので、学力差が激しい自称進学校でも使いやすい。

自称進学校の中~下の生徒層に河合とかやらせたら、多分模試の時間中寝て終わると思う。

そして、模試のレベルが低いから、偏差値は高く出やすい。

生徒褒めたり、保護者会で成果発表するのに超便利。

さらに、ベネッセさんは懇切丁寧な解答とか、事前事後課題とかを模試につけてくれるので、「とりあえず課題出す」のに便利。

次の理由として、学校がベネッセさんに大変お世話になっているということも挙げられると思う。

他の教育系企業がどうなのか知らんけど、ベネッセさん、超~~~詳しい受験用のデータとかくれるんだよね。

受験用の講演しに来てくれたり、資料渡してくれたり。

結構無茶ぶりなわがままも聞いてくれたし(感謝)。

本当にデータをくれるという意味では助かった。でも、あの人たちもよく我々に付き合ってられんなーと思う。

だから、ベネッセさんに模試代で恩返し+生徒の学力データもプレゼント、ってところですかね。

 

自称進学校あるある⑤文武両道

これはからくりがありまして、「一部の運動部はめちゃ強い、その他は別に強くないが、普通に活動している」って感じかな。

でも、よく考えてもらいたいんだけど、「一部の運動部はめちゃ強い」はまあ置いておいて、「その他は別に強くないが、普通に活動している」運動部がある学校って普通じゃない??笑

開成でも海城でも駒東でも運動部あるよ???笑

「運動部が存在していてそれなりに活動している」だったらほぼすべての学校が該当するから皆文武両道である。が、そこをあえてアピールしていくスタイル。

ちなみにそんなに強くはない。一部を除いて、練習日数の上限とか決まっているし。

で、異常に強い部が数個あったりするけれど、そこだけは特別枠。

そもそも、スポーツクラスみたいなやつ作って、強化部の部員はそこに所属して別カリキュラム、とかもあるある。

それもはや文武両道ちゃうやん…武しかないやつ…っていう。

まあそうじゃない場合でも、なぜか数個だけはめちゃ強かったりするけれど、これは文武両道アピール用にあえてそうしてるんじゃないかと思っている。

全部の部活動を強化しちゃうと(青森山田高校みたいなイメージ)、学校として文武の「武」のイメージしかつかないわけ。

実際、練習が忙しすぎて勉強まで手が回らない。

だから、一部は広告用のガチ武、残りは普通に活動しておいてもらう、で、トータルイメージとして「部活にも力を入れてます!!」ってしたいんじゃないかと。

進学実績だけでは他校に勝てないので、宣伝材料がちょっとでも必要なのよ…。

あと、一応一通りの運動部をそろえて最低限活動している理由としては、推薦入試狙いなところもある。

部活動に入っているというだけで、推薦入試の強みになる。別に部としてそんなに強くなくても、材料としては無いより全然マシ。

使える材料は何でも使っていく、というスタンス。

 

自称進学校をお勧めしない人

①生徒の場合

学校に長時間縛られるのが嫌な人、管理されたくない人、自分で勉強できる人、進学意欲が無い人、ですかね。

進学意欲が無いのに適当に選んで入学してくる生徒の皆さん、教師もあなたも苦痛なので考え直してね!!!

逆に、縛りが無いと勉強できない人とか、高校入試失敗して大学で逆転したい人とかならアリかな。

 

②教師の場合(就職)

学校に長時間縛られるのが嫌な人、教材研究に力を入れたい人、意欲のない生徒を見るとうんざりする人、「自分のことは自分で頑張れよ」というスタンスの人、ですね。私か。笑

教員が学校に長時間縛られるのは、もうどの学校でも大体そうだからある程度諦めるしかないけれど、自称進学校系が一番拘束が長いと思う。

プライベートと仕事をきっちり区別したい人にはおすすめしない。(私は区別したかったので、意地でも休日出勤はしなかったけれど。)

求められているのは、教科の指導力ではなく躾の力。

あと、私自身、「そんなに勉強したくないならしなきゃいいじゃん」というスタンスの人間なので、「生徒に勉強させる」という学校の方針と合わな過ぎて。

「〇〇を生徒にやらせる」って言い回しが職員会議で普通に多用されてて違和感しかなかった。

自発的にやらないことに意味あるの?っていう。

でも、三年いると何も感じなくなったから、環境って怖い。笑

 

逆に、「勉強よりも大事なことがある!俺が生徒を変えたい!!」みたいな人にはちょうど良い。

あと、仕事にすべてを捧げたい人とか。

ブラックか!と思うけど、結構「喜んで休みの日も仕事をする人」っているんだよね。特に男性。そういう人には本当にはまると思う。

それから、お金稼ぎたい人。

拘束時間長いからお金使っている暇がないし、忙しい分給料は悪くない。

私も、新任として修行するのにはちょうど良い環境だったと思う。

 

自称進学校の見分け方

「自称進学校ですよ~」と説明会で教えてくれるわけもないので(笑)、行きたくない人が間違えて入学するという事故を防ぐべく、見分け方をお伝えしたいと思います。

 

①ホームページが情報過多

自称進学校のホームページって、やたら情報が多い!

あとやたらポップな感じの色味とかレイアウトとか。

各種SNSへのリンク、校長/教員ブログ、トップからいきなり進学実績、トップが謎のスローガン(「次世代のグローバルリーダーを輩出」的な)、やたら凝ったレイアウト、等、怪しい香りが半端ない。

リアル進学校のホームページを見てほしい。必要最低限しか載っていないから。

 

②進学実績そこまで書くか?問題

ホームページとかパンフに進学実績が載っているけれど、あそこにどういう書き方をしているかで大体分かる。

東大・京大・国公立・早慶上理ICUあたりを書く→普通。でもそこを異常にでっかく書いていたら怪しい。

GMARCHを大きく書く→フォントによる(笑)が、あやしい香りがし始める。あと、「GMARCHレベル」というくくりもまあ怪しい。

日東駒専までひとくくりで書く→アウトかな。

成成明学~というくくりがある→アウトー!!そのくくり、マイナーすぎて多分皆知らないよ!!

「大学進学〇%!」→アウトー!!進学校だったら100%だから普通書きません。

 

③学校説明会がめっちゃ多い

年合計5回以上あったら多すぎると思うんだけどどうだろう。5回でも多いような気がする。笑

某自称進学校さん(私とは関係ない所ですが)の説明会を見てみたら、見学会4回・個別相談会9回・入試説明会6回・ってなってた。

ちなみに比較で開成も見てみましたが、高校は2回。以上。強気ー!!

あと、別に学校説明会の日じゃなくても、電話予約すれば学校案内いつでもやってくれることも多い。

もし自称進学校に就職したい先生がいたら、説明会の日程を見てほしい。大体日曜だから。つまりその日程、(そこの分掌につかされたら)出勤ってことだから。

 

④制服がしょっちゅう変わる

宣伝できるものは何でもしていく、それが自称進学校のスタイル。

「制服がかわいい」って理由だけで入学するのはおすすめしない。

なぜなら、自称進学校の可能性が高いので。

 

⑤教員が若い

前述のとおり、自称進学校はなかなかに激務なため、入れ替わりが大変激しい。

前任校、私と同じタイミングで常勤デビューした人が5人いたけれど、1人しか残っていません…。毎年平均3人ぐらい辞めてってたな…。

よって、年齢層は低くなりがち。

パンフに載っている先生や、教科主任が若手ばっかりの場合は注意。

あと、高齢(50以上)の先生がいるけれど、副教科のみって場合も注意。

 

 

こんなところです。

自分は就職するまで、自称進学校に接する機会もなかったから、未知の体験ばかりだったな。

初めての教員生活、修行として働く分には良かったけれど、ずっといるのは無理だなと思ってた。

一定の層には向いている学校だとは思う。特に生徒。管理された方が良いタイプの子も確かにいる。

自称進学校が絶対悪というわけではないので、うまく見極めて上手に使ってください。